内部留保の積み上げがROEを低下させ株価を押し下げる

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日本企業の内部留保の大きさが過去最大を突破したということです。内部留保は企業の資本として利益を積み上げていく行為となるわけですが、こうした内部留保の積み上げはROE(株主資本利益率)を引き下げ、企業の株価にとってのマイナス要因となる可能性があります。

ROEと株価

ROE(株主資本利益率)とは、純資産(株主資本)に対してどの程度の利益をあげることができるのか?という指標となります。

ROE=EPS(一株あたり利益)÷BPS(一株あたり純資産)
=当期純利益÷株主資本の合計

たとえば、資本金1億円の会社が年に1000万円の利益をあげているとします。
この場合のROEは1000÷10000=10%となるわけです。

では、この会社が稼いだ1000万円を内部留保した上で、翌年も同じ利益をあげたとします。
内部留保によって1000万円が資本金(純資産)に積み上げられているので、翌年のROEは下記のようになります。1000÷11000=9.09%

内部留保として資本金(純資産)が増えることにより、ROEが低下してしまうわけです

もちろん、ためた利益を企業が投資することによって利益の増加をもたらしているなら、問題はないのですが、内部留保の増大が利益増加に結びついていない場合は内部留保することでROEが低下してしまうわけです。

日本の経営者の多くは、「内部留保として資金を積み立てていくことで健全性が保たれる」と思っているのでしょうが、これによってROEの低下(投資的価値の低下)をもたらし株価を下げてしまうわけです。

株価の下落は買収リスクの増大だけでなく、資金調達が必要になった時の資本コストの増大を意味します。確かにキャッシュを積み立てることは財務上の健全性にはつながりますが、過剰なキャッシュポジションを投資家が評価することはないでしょう。

こうした状況が東証一部上場企業における平均PBR(株価純資産倍率)の1倍割れや、昨日も「PERは市場の期待値」で書きましたが、PERの10倍割れみたいなことにつながっているのだと思います。

 

再投資による収益拡大が見込めないなら配当を増やす

内部留保としてため込んだ資金を現金(または預金、債券など)でしか運用できないというのであれば、配当に回してしまえばいいのにと思います。

債券や定期預金の金利が超低金利水準で推移している現状からみれば、配当利回りの上昇は投資家にとって魅力で大きな投資を呼び込むでしょう。また増配によって、内部留保が小さくなればそれだけROEも大きくなり、投資的価値も高まるものと考えられます。

もちろん、投資の尺度は配当利回りやROEだけではありませんが、今の日本企業の超低水準の株価を見る限り、こうした対う策が株価を押し上げる良いインパクトになると考えています。

参考サイト
ROE(株主資本利益率)とROA(総資本利益率)の読み方

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