住宅(不動産)の売り時と金利の関係

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アベノミクス期待が株式市場では若干色あせている感は否めませんが、今回は不動産の話。知人の買取業者によると、収益物件(家賃収入を目的とした不動産)の売り物件が出てこないということ。インフレ期待で不動産価格の上昇を期待している大家さんが多いということです。ただ、よく考えて欲しいのはインフレになれば金利も上がるので不動産価格にはマイナスの影響も出ると言うこと。実際に金利が上昇すると不動産価格は低下するため、インフレ期待で不動産価格が上がっているというのであれば売り時は今かもしれません。

金利上昇と不動産価格

金利の上昇(名目金利の上昇)は不動産に対する期待収益率の押し上げ効果が生まれます。
現在の無リスク資産の利回りが0.5%で不動産投資に対するプレミアム分が5%だとすると、不動産投資に対する期待収益率は5.5%ということになります。

将来金利が上昇してアベノミクスの目標でもある金利が2%になったとしましょう。この場合のプレミアムが変わらないとすると不動産投資への期待収益率は7%に上昇します。

収益還元法(DCF法)による不動産価格の計算は「年間賃料収入÷期待収益率」。同様だとすると当然期待収益率が高いほうが価格は安くなってしまいます。
収益還元法についてくわしくは「こちら

仮に年間の賃料が100万円と仮定した場合、当該不動産の収益還元価値は期待収益率が5.5%のときは1818万円、7%の場合は1428万円となります。

つまり金利上昇は基本的に【不動産価格へはマイナスの影響】が出ることなんです。ここは押さえておきましょう。

もちろん、賃料が100万円で固定しているのはフェアではありません。実際にインフレになって家賃水準も上昇した場合は変わってきます。上記のケースでは年間の賃料が100万円から127万円へと27%上昇すれば収益還元法による価値は同様となります。
ただし、賃料が27%も上げられるか?と聞かれたら多くの場合はNOでしょう。

 

金利上昇はローン利用者の購買力を低下させる

不動産投資はもちろん、マイホーム購入を検討している方も多くは「アパートローン」や「住宅ローン」などのローンを使って不動産を購入します。
このとき、買い手は不動産価格よりもローン返済を含めたネットで電卓をたたくと言うことです。

住宅ローン金利は2013年6月現在で変動なら0.8%で借りれます(最新金利の確認は「こちら」や「こちら」を参考)。これが2.8%へと上昇したと仮定しましょう。
住宅ローン融資可能額と年収」を見ていただくとわかるかと思いますが、住宅ローンは年収によって年間あたりに返済可能な金額というものが大体決まっています。年収が600万円の方なら年200万円くらいが限界です。この返済額は当然「元本+利息」になります。そのため、金利が高いほど、毎月の返済額に占める元本が小さくなるわけですから、借りることが出来る金額も小さくなります。

ここから借り入れ金利で逆算すれば利用可能な住宅ローン上限が決まってきます。
0.8%の場合:約6000万円
2.8%の場合:約4400万円

となります。実際のところ0.8%の変動金利で計算するのが正しいかどうかは別として、ローン金利が上がれば、借りられる金額も小さくなると言うわけ。
ということは、住宅ローン金利が上がると、同じ年収の人が買える家の金額が小さくなってしまうわけです。

これは、売り手にとっては需要の減少となります。需要が少なくなるということは需給の関係によって価格には下方圧力がかかるわけです。

 

まとめ

金利が上がるというのは不動産を売りたいと思っている人にとっては悪い面も多いものです。
一番いいのは期待先行の時期ではないかと思います。実際に金利が上昇し始めるよりも、将来上昇するんじゃないか?という期待感が高まっている時期。そういうタイミングが不動産価格面では売り時なのかもしれません。

逆に買い手にとって、特にキャッシュでの購入を予定している方というのは金利が上昇してから買うほうがお得になる可能性が高いと言うことになりますね。

 

その他参考記事
アベノミクスと住宅ローン金利
アパート経営と融資
金利とは何か?

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